パトシBLOG

インフラエンジニア兼マネージャーがキャリアとおすすめの本を綴る

任せるところは1ミリも残さず任せる ~ 采配 - 落合博満

僕はスポーツの監督やリーダーのマネジメント術は、そのままビジネスでのマネジメントに通じると信じている。だから、自分のマネジメントの参考にするために、野球、サッカー、ラグビーの監督やリーダーの本を結構たくさん読んできた。その中でも強く印象に残っているのが落合博満中日ドラゴンズ監督の本だ。

名選手かつ名監督

名選手、名監督にあらずといった言葉もあるが、落合監督は選手として2000本以上の安打と500本以上の本塁打を放ち、監督としても中日ドラゴンズで2004年から2011年の8年間の全てでAクラス、4度のリーグ優勝、1度の日本一の実績を残した名選手かつ名監督だ。

当時、落合監督の采配には「オレ流」という批判も多かったのだが、本を読んでみると意外にも緻密で真っ当なマネジメントをされていたことに気づく。この本には66のルールが載せられているが、僕がいつも頭の片隅に置いてある言葉がある。

「任せるところは、1ミリも残さず任せ切る」

落合監督時代の8年間、中日の投手コーチは森繁和さんだ。森コーチはそれ以前に西武、日本ハム、横浜で投手コーチの実績があったのだが、落合監督とはほとんど接点はなかったらしい。にもかかわらず、落合監督は監督就任要請を受けた際に森コーチの手腕の高さを買い、中日の投手コーチ就任を要請したらしい。そして、落合監督はピッチャーに関することを完全に森コーチに任せていたそうだ。ローテーションの順番や継投策、ピッチャーの1、2軍の入れ替えなど、ピッチャーに関することにはほとんど口を出したことがないらしい。ここまで権限委譲していたのは12球団で落合監督ぐらいだと言う。そして、その上で、森コーチの采配にすべての責任を負うのは監督の仕事である、と言う。ここまで森コーチに任せた理由は、落合監督が選手時代に仕えた監督を見ていた印象として、何にでも自分がやらなければ気が済まないと動き回る監督ほど失敗することに気づいたそうだ。

実際、他の監督はコーチがいるにも関わらず、選手を直接指導するケースは多々あるのだろう。それをされたらコーチは立場がないと思う。逆に全権を委任されたら意気に感じて目一杯の仕事をするだろう。だからこそ中日ドラゴンズ落合監督時代は強かったのかもしれない。

世の中では何にでも口を出したがる管理職が実に多い

一般企業でも同じではないだろうか。何にでも口を挟まなければ気が済まない管理職は実に多い。課長を飛び越えて課の若いメンバーに直接指示を出す部長など、細かいところまで自分がコントロールできていなければ不安なのだ。ただ、飛び越えられた課長は存在意義を失くしてしまうし、メンバーは部長と課長のどちらの指示に従えばよいのか様子をうかがうようになる。こうして組織の生産性は下がっていってしまうのだ。

管理職も、信じたら、あとは任せるだけ

僕も部長経験が長いので、口を出しすぎないように落合監督の言葉は常に念頭に置いている。要するに、信じるに足りる人を部下に置き、あとは任せるだけだ。細かいことにいちいち首を突っ込んではいけない。信じて、任せて、そして結果が出なければ、僕に見る目がなかっただけの話である。