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信長を殺した男:明智光秀の子孫が書いたこのマンガが面白い

マンガのタイトルから明智光秀を主人公とした作品であることは容易に想像できるのだが、僕たちが良く知る物語ではない。というより、明智光秀の物語をよく知る人なんてほとんどいないのではないだろうか。僕も明智光秀のことは信長を裏切って殺し、三日天下で豊臣秀吉に討たれた人としか今まで興味がなかった。このマンガの原作は明智光秀の子孫である明智兼三郎氏で、日本中から逆賊として忌み嫌われてきた先祖の光秀に対する誤解を晴らすために書いた力作である。 全8巻完結。

最後まで読んでみて、本能寺の変の真実として、まぁそういう見方もできるかもしれないというのが僕の感想だ。原作者は相当な時間と労力をかけて史料を調べ、史実を解釈しようとしたことがわかるし、当時の戦国大名たちの心理や、ひとつひとつの合戦の描写などのディテールにおいて、つじつまは合っていると思う。だから、内容には十分に説得力がある。だが、僕はこれが真実だと鵜呑みにすることはできない。

原作者には申し訳ないのだが、400年以上も昔のこととなると、何が事実なのか、もはや全てが怪しいものである。「この史料に書かれてある内容は本能寺の変の後、何十年もして書かれたものだから事実ではない。」ということがもっともらしいのと同時に、「誰かが誰かに宛てた手紙にこう書いてある。」というのも、ただ手紙に書いてあるだけでそれが本当に事実として起こったとは言い難い。

そして、先祖なので明智光秀をリスペクトする気持ちは仕方ないとして、豊臣秀吉に対する描写に悪意がこもりすぎている感じがする。先祖が討たれた相手だからこれも仕方ないのかもしれないが。

繰り返しになるが、400年以上も昔のことなので信憑性のある証拠はないに等しい。だから解釈の仕方は何通りもあると思う。このマンガの内容はこれはこれで面白い。

そして、この時代の近江辺りのことは勉強になった。数年前に琵琶湖や延暦寺には訪れたのだが、延暦寺の麓の坂本が明智光秀ゆかりの地であることは全く知らなかった。琵琶湖のほとりに建つ坂本城は美しい城だったということだが、城は焼かれてしまい今はもうないので気がつかなかった。その辺りには明智光秀の良政に対して民が感謝した名残が残っているとか。坂本にもう一度訪れた際には光秀の足跡もたどってみたいと思う。